メンデルスゾーンは一時期忘れ去られていたJ.S.バッハの「マタイ受難曲」を指揮して再び脚光を浴びさせるようにしたという大きな功績がありますが、自らもこの交響曲を作曲しました。
交響曲第5番となっていますが、有名な交響曲第1番「スコットランド」や交響曲第4番「イタリア」以前に作曲されたものの、スコアの出版が後年になったため第5番になったという経緯があります。

この曲では第1楽章にてドイツで聖歌として古くから知られていた「ドレスデン・アーメン」のメロディが弦楽器で演奏されるほか、第4楽章ではマルティン・ルター作曲の聖歌「神はわがやぐら」のメロディがフルートを中心に演奏されています。

 

hr-Sinfonieorchester – Frankfurt Radio Symphony ∙
Masaaki Suzuki, Dirigent ∙

hr-Sendesaal Frankfurt, 29. September 2023 ∙

 

鈴木雅明氏は日本を代表するバロック音楽の演奏団体であるバッハ・コレギウム・ジャパンの音楽監督で、J.S.バッハの作品やキリスト教音楽の指揮に定評があり、東京芸術大学の教授も務めた(現在名誉教授)かたで、日本キリスト改革派教会の教会員でもあります。
ヨーロッパでは特にドイツやオランダで高く評価されており、このように現地で指揮をする機会もたびたびあります。

また、このオーケストラの首席フルート奏者であるクララ・アンドラーダさんはスペイン生まれでヨーロッパ室内管弦楽団の首席フルート奏者でもあるほか独奏者としての活動もされているので、このオーケストラではほかの男性奏者が第1パートを演奏することが多いのですが、このコンサートでは彼女が第1パートを担当しました。
それだけ彼女やこのオーケストラの運営側が鈴木氏を重視しているといえるでしょう。

なお、第1楽章で使われている「ドレスデン・アーメン」のメロディは、ブルックナーの交響曲第5番や第9番、マーラーの交響曲第1番、ワーグナーの楽劇「タンホイザー」「パルジファル」にも登場します。

 

上越聖書バプテスト教会教会員 山田 正