バプテスト(Baptist)とは、プロテスタントの教派のひとつです。

フランス出身の宗教改革指導者であるジャン・カルヴァンの影響を受けた人々が、16世紀末に英国教会から離れてつくったグループが起源といわれていますが、それとは別にドイツやスイスで宗教改革期に集まった人々を起源とする説もあります。

いずれにしても400年以上の長い歴史があり、特に米国やカナダで大きく広がりました。

米国ではプロテスタントの数ある教派の中でもっとも規模が大きく、カナダにも多くの教会があります。
その他、世界各地200以上の国々で宣教が行われ、多くの教会が建てられてクリスチャンが集っています。

信仰の一環として昔から教育も重視しており、例えば米国ではアイヴィー・リーグのひとつとして知られているブラウン大学(ロード・アイランド州)、カナダでは医学や工学の分野でトップ・クラスのマクマスター大学(オンタリオ州)が、バプテストの人々によって創設された大学として特に高く評価されています。
日本でも、西南学院大学(福岡市)や西南女学院大学(北九州市)、関東学院大学(横浜市)などが、バプテストの人々により創設された大学として知られています。

バプテストの最大の特長は、バプテスマにあります。

バプテスマとは一般に「洗礼」と訳されていますが、私たちバプテストでは「浸礼」として、聖書に記されている通り全身を水に浸します。

カトリックやプロテスタントの多くの教派で行われている乳幼児の「洗礼」は、バプテストでは「本人の信仰告白が確認できない」として、行われていません。
精神的に成長した年齢に達し、自らきちんと信仰の意志を示して必要な学びを重ね、周囲の教会員多数にクリスチャンとしてふさわしいと判断されたかただけが「浸礼」を受け、クリスチャンとして認められるのです。

また、教会および教会員の自主性が尊重されており、加盟するグループが方針を決めて各教会がそれに従うのではなく、それぞれの教会で牧師と一般の教会員が同じ立場で参加する教会会議の場においてさまざまな提案や話し合いがなされ決められる、風通しのよいシステムになっています。

昔から「政教分離」を主張し、国家権力の干渉を拒否したため、特に戦時下において弾圧された関係者が多かったことでも知られていますが、その姿勢は今でも多くの牧師および教会員に受け継がれています。
但し、それはよくありがちな国家権力に何でもかんでも異を唱えて反対するのではなく、評価できるところは評価して為政者のために祈るのが根本であると云えましょう。

バプテストの教会の建物は簡素なところが多く、一般的な教会や結婚式場のチャペルのイメージを想像しておいでになるかたは、地味で簡素な建物や屋内にきっと驚かれるでしょう。

その簡素さは、見かけの派手さや豪華さ(これらは偶像礼拝につながるものと考えています)ではなく、信仰そのもの、つまり内面を重視する姿勢を表しています。